教授あいさつ
主任教授 池添 隆之
Takayuki Ikezoe
2016年4月に、内科学講座再編成に伴い旧・循環器・血液内科から独立して血液内科学講座が誕生致し、5月1日に初代主任教授を拝命致しました。日本第3位の広大な面積を誇る福島県全域に安定した血液診療を提供することが私に課せられた最大の使命と感じています。この使命を果たすためには人材の育成が不可欠です。そのために以下の3つの方策を考えています。
① 移植医療の充実を図る。
移植医療に従事することで抗がん剤や免疫抑制剤の使用法、輸液管理、感染症対策など非常に多くのことを学ぶことができます。それにより全身管理の出来る臨床能力の優れた医師の育成が可能と考えます。当院は2016年12月に“みらい棟”(ふくしま いのちと未来のメディカルセンター棟)を新設し、血液内科の病棟機能も新病棟に移転しました。病床数は従来と同じ34床ですが、クラス100の無菌室が3室、クラス1,000の個室が5室、クラス10,000の4床室が2室と、移植医療のための無菌環境の拡充が果たされました。今後、若手スタッフを育成しながら益々の移植医療の充実を目指したいと思っています。
② トランスレーショナルリサーチの推進。
血液内科は医学・医療の進歩を肌で感じながら臨床と研究の両方に従事できるという利点を備えた科です。ベットサイドで感じた疑問を実験室に持ち帰り、そこで答えを探るための基礎研究を行うことを推奨します。若手医師が、実験室で得られた研究成果を患者診療に生かすことのできる喜びを実感することで、高いモチベーションを維持しながら心豊かな医療人に成長してくれるものと期待します。
③ 国際臨床試験への参加。
福島県は大学病院およびその関連施設と各地域の基幹病院の結びつきが強く、臨床試験に協力していただける患者さんを募りやすいという強みがあります。積極的に国内外の臨床試験に参画し、有望な新薬の開発等に寄与したいと考えています。臨床試験に参画して国際的な研究動向の最前線に触れること、データマネジメントの役割と重要性について知ることは、若手医師の教育という観点からも大きな意味があると考えます。
誕生したばかりの若い講座ではありますが、院内外の血液内科医と協力しながら安定した血液診療を県民の皆様にご提供していきたいと思います。また、希望に満ち溢れる若手医師とともに、ふくしまの地から新たなエビデンスを世界に向けて発信していきたいと考えています。どうぞ皆様のご支援ご鞭撻、宜しくお願い申し上げます。
教室沿革
私たちの講座は、1950年に当時学長であった大里俊吾教授が内科学第一講座、第一内科として設立した伝統ある講座です。1952年に粟野亥佐武教授に引き継がれ、血液病学と循環器病学が教室のテーマとなりました。
1976年には血液病学を専門とする刈米重夫教授が就任し、本格的な血液病学に関する研究が行われるようになりました。1989年からは循環器病学を専門とする丸山幸夫教授が、2008年からは同じく循環器の竹石恭知教授が就任し、教室のメインテーマは循環器病学となりましたが、血液の分野においてもこの間数多くの研究成果を世界に向けて発信してきました。
2010年に講座名が循環器・血液内科学講座に変わり、2015年講座再編成により、血液内科と循環器内科が分かれ、血液内科学講座の初代教授に池添隆之教授が就任しました。